同系エンジンの機種
エンジンの歴史
ST250 のエンジンの元を辿ると、1982年まで遡る。DR250S や海外向け SP250 の
J401 型がその元祖で、同年 GN250E に J403 型が搭載された。海外発売された
DR250 では、J401 型ではなく、J402 型が採用されたようである。
NZ250 になると油冷 DOHC 化され、馬力も 33馬力に引き上げられた J414 型の
エンジンとなる。残念ながら、商業的には成功したとは言えなかったようで、
数年で姿を消すこととなる。
SW-1 では、SOHC となったが4バルブのため、NZ250 と同様エキゾーストパイプが
2本出ている。そのため、そのままマフラーを2本にしてしまう単気筒では少し
珍しいスタイルとなっている。また、ベルトドライブを採用するなど、見た目に
負けないぐらいの珍しい機構となっている。価格が高かったためか、NZ250 同様に
数年で姿を消すことになったが、現在ではその価値が認められ、中古相場は高く
落ち着いている。
ボルティーでも、この4バルブを継承し、J424 型となる。エキゾーストパイプは
2本から集合させ、マフラーは1本となった。コンパクトさ、デザイン、また
価格的にも良かったためか、前2機種とは違い、10年も発売することとなった。
そして、ボルティーから ST250 へと受け継がれる。ST250 の J438 エンジンでは
2バルブになったため、エキゾーストパイプは1本となった。シリンダーには
高速メッキシリンダーを採用しており、軽量化や放熱改善に繋がっている。
ST250までの流れ
GN250E (/ DR250S) から始まった同じエンジンを搭載する機種をざっくりと。
年 |
| 1982 | GN250E | DR250S (SJ41A) |
| 1983
| 1984
| 1985
| 1986 | NZ250
| 1987
| 1988
| 1989
| 1990 | |
| 1991
| 1992 | SW-1
| 1993
| 1994 | ボルティー
| 1995
| 1996
| 1997
| 1998 | GZ250
| 1999
| 2000 | グラストラッカー (ビッグボーイ)
| 2001
| 2002 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
| 2003
| 2004 | ST250
| 2005
| 2006
| 2007
| 2008
| 2009
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同じエンジンの機種
ボア×ストロークが 72.0mm×61.2mm の 250cc 単気筒エンジンを採用している
機種の一覧。型式の1文字目はロードモデルだと N となり、型式の2文字目や、
エンジン型式の一文字目の J は 250cc 4ストローク単気筒を指している。
車種 | 年式 | 型式 | EG型 | キャブ | 馬力 | トルク | 備考
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DR250S | 82-89 | SJ41A | J401 | - | 12.4kW[17PS]/7,800rpm | - |
| SP250 | 82-85 | SJ41A | J401 | - | - | - | 海外モデル
| DR250 | 82-85 | DJ41A | J402 | - | - | - | 海外モデル
| GN250E | 82-85 | NJ41A | J403 | - | - | - |
| GNX250E | 83 | NJ41A | - | - | - | - | 海外モデル
| GN250 | 85-99 | NJ42A | J403 | BS34 | - | - | 海外モデル
| GNX250E | 82 | NJ42A | - | - | 12.4kW[17PS]/7,800rpm | - | 海外モデル
| NZ250 | 86 | NJ44A | J414 | BST34 | 33PS/10,000rpm | 2.5kg・m/7,500rpm | 油冷
| SW-1 | 92-93 | NJ45A | J421 | - | 20PS/8,000rpm | 2.1kg・m/5,500rpm | ベルトドライブ
| ボルティー | 94-03 | (BA-)NJ47A | J424 | BSR32 | 15kW[20PS]/7,500rpm | 21N・m[2.1kg・m]/6,000rpm |
| マローダー250 | 98- | NJ48A | J430 | BSR32 | 20PS/7,500rpm | 2.1kg・m/6,000rpm | 北米で販売中
| グラストラッカー | 00-03 | BA-NJ47A | J424 | BSR32 | 15kW[20PS]/7,500rpm | 21N・m[2.1kg・m]/6,000rpm |
| グラストラッカー | 04-07 | BA-NJ4BA | J438 | BSR32 | 15kW[20PS]/7,500rpm | 22N・m[2.2kg・m]/6,000rpm |
| ST250 | 04-07 | BA-NJ4AA | J438 | BSR32 | 15kW[20PS]/7,500rpm | 22N・m[2.2kg・m]/6,000rpm |
| グラストラッカー | 08- | JBK-NJ4DA | J438 | FI | 14kw[19PS]/7,500rpm | 21N・m[2.1kg・m]/5,500rpm |
| ST250 | 08- | JBK-NJ4CA | J438 | FI | 14kW[19PS]/7,500rpm | 21N・m[2.1kg・m]/5,500rpm |
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中国では、このエンジンを現地で作っており、いくつかの車種に採用している
ようである。しかし、エンジン単体で販売していることもあり、中国内でこの
エンジンを採用している車種を探すことはかなり大変である。この混沌とした
状況のなかで、目に付いた現行販売している機種をあげる。
製造 | 車種 | EG型 | キャブ | 馬力 | トルク
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Loncin | LX250-8 | LC172FMM3 | - | 14.5kW/8,500rpm | 18.0N・m/6,000rpm
| Qingqi | QM250-2D | - | BS34 | 14kW/7,500rpm | -
| Qingqi | QM250GY-B | - | - | 15.4kW/7,500rpm | -
| Wonjan | GN250 | 172FMM | BS34 | 14.7kW/8,500rpm | 16.8N・m/7,000rpm
| Wonjan | KATARI 250 | 172FMM | - | 14.5kW/8,500rpm | 16.8N・m/7,000
| Wonjan | WJ250E-A | 172FMM | BS34 | 14.5kW/8,500rpm | 16.8N・m/7,000
| Wonjan | WJ250GY | 172FMM | Z30V | 14.7kW/8,500rpm | 16.8N・m/7,000rpm
| Wonjan | WJ250GS | 172FMM | - | 14.7kW/8,500rpm | 16.8N・m/7,000rpm
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Loncin(隆鑫) LX250-8 については、年式によって異なるエンジンを積んでいる
ようで、もし流用する場合は確認が必要である。また、過去に Haojue(豪爵) が、
HJ250-5 等で同じエンジンを使った製品を製造していたようである。GN250 と
同じ筐体で ZN250 という車体も見つかったが、詳細不明のため省略する。
参考
Qingqi(軽騎) http://www.qingqi.com.cn/
Wonjan(望江) http://www.wonjan.cn/
宗申 に ZS250GS という製品があり、250GS と少し紛らわしいし、エンジン形式も
ZS172FMM と似通った名前が付いている。しかし、この製品は同じエンジンではない
ようである。
スズキ250cc単気筒
スズキは、このエンジンと別の 250cc の4ストローク単気筒を2つ作っている。
1つは、ボア×ストロークが 73.0mm×59.6mm の油冷エンジン。採用された機種を
ざっくりと。
車種 | 型式 | EG型
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DR250S | SJ44A | J418
| ジェベル | SJ44A | J418
| グース250 | NJ46A | J422
| DR250S | SJ45A | J425
| DR250R | BA-SJ45A | J425
| ジェベルXC | BA-SJ45A | J425
| DR-Z250 | 海外モデル | J428
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このエンジンは、現在では形を変えてスクーター用にまで転用されているらしく、
奥が深いエンジンのようである。
もう1つは RM-Z250 などに搭載されている水冷4ストローク単気筒エンジンで、
ボア×ストロークは 77.0mm×53.6mm のショートストロークエンジン。ただし、
このエンジンはカワサキとの共同開発らしく、OEM などをしていた時代に共同で
開発し、カワサキの KX250F にも同じエンジンが搭載されている。
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