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2016年1月20日

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150cc エンジンの流れなど

中国で YBR150 が発売 中国で YBR150 が発売された。天剣 2.0 の名前も付けられていて、どう呼ぶべきか また混乱しそうである。 YBR150 YBR150 やはりと言うか、エンジンはボア×ストロークは 57.3mm×57.9mm で、少し前に 発売された「YS150 飛致」と同じものを搭載している。 web ページにはエンジンの写真もあるが、どう見ても左右に反転させた写真を 使っているものがあり、丁寧にも YAMAHA の文字を後から入れている辺りは、 相変わらずの中国だなと思ったりもする。 YBR150 エンジン 今日はこのエンジンについて考えてみる。
中国ヤマハの 150cc エンジン YBR125 などを作っている重慶建設ヤマハ(JYM)は、1992年にできた会社である。 この会社が初めて作った機種は SR150 で、1994年に発売された。 SR150 4FP SR150 4FP JYM が中国で初めて製作した記念すべき機種であり、また現在も発売されている 「JYM150 致虎」のエンジンへと繋がっているものである。 この発売については、日本ヤマハの HISTORY のページや、YAMAHA NEWS で確認 することができる。 ストーリー 世界の人々に豊かな生活」を届ける市場の開発 YAMAHA NEWS July 1994 - China welcomes the SR150 and big business 2002年の YAMAHA NEWS によると、2001年の12月にフィリピンへ輸出を開始したと 記事があった。当時はフィリピンの NORKIS という会社が扱っていたようである。 また、1999年にペルーへも輸出している。 話は少し飛んで、台湾では同じエンジンを搭載した「SR150 愛将」という機種が 1992年から発売されていた。型式は 3UR で、メキシコなどにも輸出されていた。 SR150 愛将 SR150 愛将 長い間形を変えずに発売されていたが2008年に製造が中止になり、ヤマハ台湾の ページからなくなった。スクーターだらけの台湾で、貴重な機種であった。 台北を走る SR150 台北のSR150 1993年あたりに欧州へ輸出されていたとの資料があるが、どのぐらい出回ったのか 不明である。 話を中国に戻して、SR150 の後継として JYM150 が発売された。と言っても、 機種コードは 4FP のまゝで変わらず。YBR125 が発売されるまで警察向けや、 郵便向け、電力会社向けの機種が作られるなど主力となっていた。 JYM150 電気会社向け JYM150 4FP8 この SR150~JYM150 の機種コードである 4FP の部品番号が付いた部品を、未だ 中国 YBR125 のパーツカタログに見られたりする。それだけ影響を与えた機種で あったが、昨年発売された YS150 から新しいエンジンとなり、このまゝ終息して いきそうである。 YS150 YS150 簡単だったけど、過去にそんなボア×ストロークが 57.0mm×57.8mm 150cc の エンジンの流れがあった。
ブラジルと中国 2015年の暮れに中国で YBR150 が発売となった。中国では12月14日に情報が出て いたらしいのだけど、年明けに気が付いた。この YBR150 の発売は予想外であり、 また予想内でもあった。 予想外の理由は、昨年発売していた YS150 の存在である。新しい 150cc を発売 するならもっと変えてくるかと思ったため。予想内の理由は、中国で発売される 機種はブラジルで発売している機種に続く傾向があるため。ブラジルでは2013年 8月に FAZER 150 を発売し、2015年10月に FACTOR 150 を発売した。それと同じ ように、中国で YS150 を発売してから YBR150 を発売したという流れになったと すると、予想できないものではなった。 この中国の YS150 と YBR150、ブラジルの FAZER 150 と FACTOR 150 の車体を 比較してみる。
中国 YS150 飛致中国 YBR150
ブラジル FAZER 150ブラジル FACTOR 150
マフラーの差異やセンタースタンドの有無などあるが、ほゞ同じ構成である。 中国の YS150 には、FAZER のステッカーさえもある。 YS150 YS150 日本やヨーロッパでは 125cc という排気量に大きな意味があるが、意味がない 国にとって 125cc は数字の目安に過ぎない。ブラジルや中国では 125cc には 意味がないので、排ガス規制が厳しくなってきた現在は、150cc 化が進んで行く ことが考えられる。
このエンジンの 125cc 版 こゝまで書いたことは、昨年10月に少し書いていたことである。そして、この 新しいエンジンの 125cc 版としてインドの Saluto / Saluto Disk Brake が出て いたことも書いた。このエンジンはリッター78kmも走るとある。 Saluto Saluto その10月に、この 125cc 版エンジンを搭載する機種が1つ増えた。正確に言うと 発売されてはいないのだけど。その機種は Resonator 125 である。 Resonator 125 Resonator 125 東京モーターショーで発表された Resonator 125 には、ブラジルの FAZEER や インドの FZ と同じストロークが 57.9mm のエンジンが搭載されている。YBR150 でも見られるようなエンジン左側ヘッドサイドカバーの盾形が特徴的。 Resonator エンジン Resonator エンジン TW125 発売終了後、ヤマハ空冷 125cc エンジンは YBR125 系のみとなったが、 この YBR150 系のエンジンのボアダウン版の登場で状況が変わってきている。 ホンダの HET、スズキの SEP に対抗して、ヤマハが最近推している BLUE CORE というものがある。YBR125 系のエンジンで、BLUE CORE のものはないが、この 新しいエンジンは BLUE CORE のものが発売されており、これからも増えそうな 感じである。 BLUE CORE 次はブラジルでこの 125cc 版エンジン搭載の機種が発売されそうな気がする、 と根拠のない予想をして。
同系エンジン この YBR150 に搭載された系統のエンジンについて、いつ頃から使われている のか調べてみた。簡単に調べた感じ、2008年9月にインドで FZ16(型式21C) へ 搭載されたのが始まりのようである。 FZ16 2008 FZ16 2008 この FZ16 は昨年頃から FZ と呼ばれるようになった。現在のインドのライン ナップを見てみると、同系エンジンの機種は。 FAZER-FI FAZER FZS-FI FZS FZ-FI FZ SZ-RR VER 2.0 SALUTO DISK BRAKE SALUTO と、かなりの種類である。
インドヤマハのラインナップインドヤマハのラインナップ
せっかくなので、同系エンジンを搭載した機種の一覧を。まずはインドから、 FZ 系列の一覧。横に並んでいるのは機種というよりも、バリエーションの感じ だけど。この6つの機種は、東南アジアや中南米でも発売されている。
FZFZSFAZER
FZ-FIFZS-FIFAZER-FI
続けて、SZ 系列と SALUTO 系列を。SZ-S は昨年で発売中止になってしまった ようである。この SZ系列は、SZ, SZ-R, SZ-X, SZ-S, SZ-RR, SZ-RR VER 2.0 と 次々名前を変えて進化している。RR なんて名前だけど、チェーンケースは付いて いるまゝ。
SZ-RR VER 2.0SZ-S
SALUTOSALUTO DISK BRAKE
そして、インドネシアから BYSON が出ている。これは FZ の名前違いと呼んでも 良いぐらいのものである。ついでに、ブラジルの CROSSER 150 も。
BYSONCROSSER 150
あとは、上記にあるブラジルの FAZER 150, FACTOR 150、中国の YS150, YBR150 が出ている。
エンジンを比べてみる 一部を除くこのエンジンには、プラグの前に黒いエアスクープのようなものが 付いている。そこには Y.R.C.S. と書かれており YAMAHA Ram-Air Cooling System の略のようである。プラグ周りの冷却に使われていて、その昔カワサキの ZXR なんかに付いていた K-CAS を思い出す。 YRCS YRCS と言っても単なるエアスクープで、エキパイの影響を直接受けているのもあり、 名前を付けてまでの冷却効果があるのかは疑問である。 YRCS YRCS 中国の YS150 や YBR150 にも付いており、ブラジルの FACTOR には付いてないが 取り付け用のネジ穴は存在している。 そんな比較もできるように、いくつかのエンジンの写真を一覧で。
Resonator 125Crosser 150(ブラジル)Factor 150(ブラジル)
SALUTO(インド)FZ-S FI(インド)FZ(インド)
手元に良くわからない FZ16 の写真があって、メモによると5年前に入手したものゝ ようなのだけど、それ以外のことは書き忘れていたのか、あえて書いてなかったのか 覚えてないもの。この FZ16 は、YRCS が装着されていない。インド製のエンジン のように見えるが、詳細不明である。
FZ16
インド、ブラジル、中国、インドネシアでの緒元を一覧にしてみた。馬力表示か kW 表示かどちらにしようか悩んだが、世界の流れは kW のようなので、馬力しか 表示がない機種については kW に変換し、小数点2位で四捨五入した。
インド
FZ, FZ-S, Fazer153cc58.0mm x 57.9mm10.3kW/7500rpm5速
FZ FI, FZ-S FI, Fazer FI149cc57.3mm x 57.9mm9.7kW/8000rpm5速
SZ-RR VER 2.0149cc57.3mm x 57.9mm8.9kW/7500rpm5速
SALUTO125cc52.4mm x 57.9mm6.1kW/7000rpm4速
インドネシア
BYSON149cc57.3mm x 57.9mm9.61kW/8000rpm5速
ブラジル
FAZER 150149cc57.3mm x 57.9mm9.0kW/7500rpm5速
FACTOR 150149cc57.3mm x 57.9mm9.0kW/7500rpm5速
CROSSER 150149cc57.3mm x 57.9mm9.0kW/7500rpm5速
中国
YS150149cc57.3mm x 57.9mm9.5kW/7500rpm5速
YBR150149cc57.3mm x 57.9mm9.5kW/7500rpm5速
SALUTO だけ4速のギアを採用している。同じ機種でもアジア各国や中南米向け モデルでは馬力が微妙に違ってくる。
ついでに水冷エンジン 150cc/125cc のもう1つの柱、水冷エンジンについても、メモ代わりに書いて おく。この水冷エンジンは、上記空冷エンジンとレイアウトが似ている。部品を 比較してみると、空冷エンジンとの共通部品は無いに等しかった。 水冷エンジン 水冷エンジン YZF-R125, YZF-R15 などの YZF 系や、MT-125 の MT 系、さらに WR125X/WR125R の WR 系などに搭載されている。欧州以外ではマレーシアの FAZER150i などの ように 150cc で使われることが多い。 YZF-R125 YZF-R125 この水冷エンジンはだいぶ前に傾けても大丈夫なように設計されているようで、 アンダーボーン車に近い形のインドネシアの JUPITER MX 150/MX KING 150 や、 マレーシアの Y15ZR、タイやベトナムの EXCITER 150 などでは、かなり前傾の 状態で装着されている。 登載されている感じを一覧で。
MT-125(EU)WR125R(EU)M-SLAZ(タイ)
FZ150i(マレーシア)EXCITER 150(ベトナム)V-IXION(インドネシア)
発売国が多いので、適当に選んだ機種・国での諸元を。150cc 版は 125cc 版より 0.1mm ストロークアップしている。
EU
YZF-R125124.7cc52.0mm x 58.6mm11.0 kW/9000rpm6速
MT-125124.7cc52.0mm x 58.6mm11.0 kW/9000rpm6速
WR125R/WR125X124.7cc52.0mm x 58.6mm11.0 kW/9000rpm6速
マレーシア
FZ150i149.8cc57.0mm x 58.7mm12.2kW/8500rpm5速
Y15ZR149.8cc57.0mm x 58.7mm11.3kW/8500rpm5速
インドネシア
V-IXION149cc57.0mm x 58.7mm12.2kW/8500rpm5速
MX KING 150149cc57.0mm x 58.7mm11.3kW/8500rpm5速
インド
YZF-R15s149cc57.0mm x 58.7mm12.2kW/8500rpm6速
タイ
M-SLAZ149cc57.0mm x 58.7mm12.2kW/8500rpm6速
EXCITER 150149cc57.0mm x 58.7mm11.3kW/8500rpm5速
フィリピン
SNIPER 150 MXi149cc57.0mm x 58.7mm11.3kW/8500rpm5速
タイで M-SLAZ が発売されたのもあり、ヨシムラのマフラーなどアフターパーツが 豊富に発売されている。
これからの流れを予想しながら 少し取り留めもなく書いたが、そんな海外のヤマハの状況を見ながら、これから どんな機種が発売されるかといった予想をするのも、良いお酒の供である。次は Crosser 150 の中国版が出てくるかなと考えながら春の到来を待ちつゝ。

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